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溶けゆく日本人-過保護で「最高学府」も泣く

 終盤を迎えている大学入試。悲喜が混在した春の風物詩の裏では、受験生の親と大学の呆(あき)れるばかりの“格闘”が繰り広げられている。

 「教室が寒いと言っているので、室温を調節してください」

 芝浦工業大学(東京)人事課の山下修さんは、この時期特有の苦情に、もうすっかり慣れてしまったという。受験生の母親が入試の真っ最中に掛けてくる電話だ。受験生が休み時間に携帯電話で母親に知らせ、母親が大学に連絡してくる。

http://www.sankei.co.jp/seikatsu/seikatsu/070313/skt070313000.htm




■介入してくる親

 昨年、同大学で実施した大学入試センター試験では、「窓の外で車のドアを閉める音がしたので気になった、と 息子が言っている」という苦情が寄せられた。このクレームは、母親が高校の担任に報告し、担任が教頭に伝え、教頭が大学入試センターに連絡し、大学入試セ ンターから大学に話がおりてきたという“一大騒動”だった。

 「試験会場で本人から『教室が暑い』などと意思表示があると、『しっかりした子だ』とすら感じます」。山下さんの言葉には、「諦観(ていかん)」-そんな境地さえ漂う。

 「特別教室で試験を受けさせてやってくれないですか」

 複数の大学で職員を務めた女子栄養大学(東京)広報部長の染谷忠彦さんは、受験生の母親からそんな電話を受けたことがある。理由を耳にし仰天した。「うちの子は集団が苦手だから…」-。

 むろん、断った。「一応心配になったので当日その受験生を見てみたんです。ピンピンしていましたよ」。あまりの過保護ぶりに染谷さんは苦笑するしかなかった。

 「最高学府」-。確か大学はそう呼ばれていたはずだ。そのキャンパスライフにも、あらゆる局面で親が顔を出す。

 都内の理工系の大学では、5年ほど前から入学後の行事について、「ガイダンスは学生1人で参加してください」などと、パンフレットに記載するようにしている。「書いておかないといつまでも顔を出す」(大学関係者)のがその理由だ。

  履修ガイダンスに自ら出席し、「どの教授の講義が単位を取りやすいのでしょうか」と堂々と尋ねる母親の姿はもはや希有(けう)ではなくなった。「『どんな アルバイトがふさわしいか』『サークルには入れたほうがいいか』という質問もあります。全部自分で面倒を見ないと気が済まないのでしょうか」と女子栄養大 の染谷さんは嘆く。この間、隣席で子供はじっと座ったままだ。

 大学事務室への親からの“理不尽な要求”は卒業するまで絶えることはない。

  留年した学生の親からの「なぜこうなる前に知らせてくれないのか」という注文▽履修ミスをした学生の親からの「息子のために(履修を)やり直せないのか」 という懇願▽宿題のリポートを自宅に忘れた学生の親からの「ファクスするから子供に渡してほしい」との連絡▽「風邪をひいて休むから教授に伝えてくれ」と いう依頼-。すべて、大学関係者が実際に見聞きした例だ。

(中略)

 そうした過保護の集大成ともいえるのが、就職活動。ここ10年で大学の合同就職セミナーに親が大挙して押し 寄せるようになったという。「特に母親なのですが、企業担当者に自分の理想を蕩々(とうとう)と述べるのです。『この子には御社がふさわしい』とか、『ベ ンチャーはちょっと』とか」(中京地区の大学就職課関係者)。ここでも子供は行儀よく座ったままだ。

 そして、わが子の就職活動が難航すると、「がんばれ」と背を押すでも、尻を叩(たた)くわけでもない。親に向けた就職説明会を開いている「親向け就職ドットコム」の矢下茂雄さんは苦言を呈す。

 「就職浪人しても構わない、と逃げ道を与えるわけです。やりたいことが見つかるまでは面倒を見てやるとも言って、衣食住を与える。こういうときこそ厳しさが必要。優しさの意味をはき違えている」-。

 こうした過度の庇護(ひご)のもとで育った“おとな子供”が、一人また一人と社会に巣立っていく。受け入れる企業で待ち受けるもの、それは、さらなる“喜劇”、そして“悲劇”だ。(森浩)



切る部分があまりなく、引用が長くなってしまいました。

これを読んでいるとまるで小学校の話のようですね。いったい日本に何が起こっているのかと…。
大学入試ともなれば年齢は18。世間一般からしてみれば親離れ、子離れができている年齢に思えます。
(実際、学費などでは子は親に養ってもらっていることが多いので親離れできていないかもしれませんが。)
「教室が寒いと言っているので、室温を調節してください。」
こんなこと親経由で言わせるなよと。試験官に言う、それができないのなら我慢する。この2択しかないはずです。
そして就職ガイダンスにまで親が介入してくるとは、もうお笑い沙汰ですね。
「社会人になる気あるのですか?」…いや、「お子さんを社会人にさせる気はあるのですか?」そう聞きたいです。
子も子で、この年齢ならば「親に何かと干渉されるのは嫌だ」そう思う歳ではないのでしょうか。
思い起こせば大学入試前、オープンキャンパスというものがありましたね。そのときに親と一緒に来ていた人が1組あったことを今でも覚えています。
周りからすれば「えww親と来てるの?マザコンかよwwwwww」こんな視線であったのではないかと思います。
当時の私もそういう目線で彼らを見ていたと思います。

最高学府云々の話ではなく、日本全体がこうなっていると思うのです。そうでなければニートなんて生まれてきません。
親の世代というのはバブルを生きた人たちですよね…これが何か関係しているのでしょうか…。
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